でこぼこ三人衆 Presents





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寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。
夏の夜というのは、不思議とあちら側の世界との境界線が、
どうやら薄くなるようでございます。

ふとした瞬間に感じる、生ぬるい風。
誰もいない筈の背後に漂う、気配。

それは気のせいか、それとも…

今宵お届けするのは、その昔より代々伝承されてきた、
少しばかり、怖い物語。

せっかくなので雰囲気も大切と思いますので、
部屋の明かりを少し落とし、耳を澄ませてお聞きください。

さあ、恐怖の時間の始まりです…



- 第7話 八幡の藪知らず -

これは昔々、千葉県は市川市に伝わるお話です。




「八幡の藪知らず」にまつわる徳川光圀(水戸黄門)の体験談は、
「名君としての慢心」から禁忌を破り、怪異に遭遇して戒められるという、
教訓的かつオカルトチックな物語として江戸時代に広く定着しました。




今回は、そんな黄門様の体験したというお話をしたいと思います。




時は江戸時代、
すでに「一度入ると二度と出られない」と
恐れられていたこの藪の噂を耳にした光圀は、
「天下の副将軍たる自分が、
そのような根拠のない迷信に惑わされてたまるか」
「真偽を確かめてやる」と、
周囲の制止を振り切って単身で竹藪へと足を踏み入れました。




一歩中に入ると、外からは小さな竹藪に見えた空間が、
まるで底なしの深いジャングルのように広がっていました。




光圀は、いくら歩いても出口が見つからず、
自分がどこを歩いているのか完全に分からなくなりました。




光圀の目の前に、おびただしい数の妖怪や怪異(化け物)が現れ、
その妖怪や怪異が彼を威嚇し、行く手を阻むのです。




恐怖と疲労で命からがらとなった光圀の前に、
突如として白髪の老翁が姿を現しました。
その存在は光圀を鋭く叱責します。

「ここは神聖なる禁足地である。いくら貴人(身分の高い者)であろうとも、
みだりに立ち入って自然の戒めを破るとは何事か」




しかし、老人は続けてこう言いました。

「汝のこれまでの善政と免じて、今回だけは命を救い、
見逃してやろう。二度とこの禁忌を侵してはならぬ」




老人が杖で指し示した方向へ進むと、
光圀はようやく竹藪の外へ脱出することができました。
生還した光圀は深く反省し、土地の者たちに「この藪はやはり本物の禁足地である。
今後は周囲に柵を巡らせ、誰も入れてはならぬ」と厳命したと伝えられています。




ということで、「八幡の藪知らず」というお話でした。

さて、なぜこのようなお話が生まれたのか?
とても気になるところではあります

史実として、徳川光圀がこの場所に入ったという公式な記録はありません。
光圀は歴史書『大日本史』を編纂する中で、
平将門を「朝廷に背いた逆臣」と位置づけていました。

そのため、
「将門の怨霊が眠る藪」に「将門を否定した光圀」が挑んで敗北するという構図が、
江戸時代の歌舞伎や講談、月岡芳年による錦絵などの格好の題材となり、
日本中にエンターテインメントとして拡散していったと考えられています

まあ、この話、今でいう廃校や廃墟に挑む肝試しにも似てますが、
水戸黄門からは想像がつかないやんちゃなキャラクターも
なかなかに面白いものではあります

また、(黄門様の話は別として)この様な話、場所が残っているのは、
それ相応に理由があると思うんですよね
それこそ、先の話にも出てきた「将門の怨霊」とか…

そんな将門に纏わるお話はまた別の機会に


最後まで、お付き合い頂き、ありがとうございました!





民話伝承999🄫