でこぼこ三人衆 Presents





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寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。
夏の夜というのは、不思議とあちら側の世界との境界線が、
どうやら薄くなるようでございます。

ふとした瞬間に感じる、生ぬるい風。
誰もいない筈の背後に漂う、気配。

それは気のせいか、それとも…

今宵お届けするのは、その昔より代々伝承されてきた、
少しばかり、怖い物語。

せっかくなので雰囲気も大切と思いますので、
部屋の明かりを少し落とし、耳を澄ませてお聞きください。

さあ、恐怖の時間の始まりです…



- 第4話 白蛇の松 -

これは昔々、愛知県の豊橋に伝わるお話です。




明治維新直前の三河吉田藩(現在の愛知県豊橋市)の東八町には、
美形好みで知られた藩士・酒井八十右衛門が住んでおり、
妻には世間で評判の大変な美人の幸枝がいました

酒井家には牟呂村出身のまじめな若者・由次郎が下男として仕えていました。
由次郎はとても主人思いでよく働くため、信頼され、妻の幸枝も特に目をかけていました。

ところがある日、由次郎が屋敷の下女に手を出した事をを聞いた八十右衛門は怒り、
即座に二人を家から追放しようとしました。

しかし、幸枝の嘆願を聞き、由次郎だけは屋敷に留まることを許しましたが、
それ以来、幸枝と由次郎の関係に疑惑の目を向けるようになりました。




ある時のこと、酒井の友人の息子が妻の幸枝に一目惚れをした。
こいつが我儘放題の道楽息子で、酒井が城に詰めてる間に屋敷にやってきて、
幸枝に自分の女になれと迫った




大きな音を立てて屋敷で揉み合う二人、
慌てて駆けつけた由次郎は道楽息子を締め上げた




翌日、道楽息子は己がした事をさも由次郎がしたかのように酒井へ伝えると、
それに怒った酒井、由次郎の言い分も妻の弁明も聞かず、
由次郎を庭の松の前で一刀両断にした




おびただしい返り血が、松の太い幹を真っ赤に染め上げた。

そのあと幸枝は涙を流し由次郎が誠実な人であることを説明しました。
八十右衛門は自分のしたことに恐れおののき口外しないよう幸枝に口止めしました。
翌朝、由次郎の遺体は沢庵の空き樽に詰めて牟呂の実家に送り届けたそうです。




隠したつもりでしたが、由次郎の死の噂は次第に広がり、人魂が出ると言われたり、
松の木にいる白蛇は由次郎の怨霊の姿だという奇怪な噂も立ち始めたそうです。

幸枝は病で亡くなり、新しい下女も見つからず、
広い屋敷で一人、八十右衛門は暮らしました。




二年後のある日、友人との牟呂へ釣りへ行った帰り道、
酒井は急に頭痛と吐き気に襲われて、水を求めてある民家の門を叩いた。
なんと、それは酒井が殺した由次郎の実家で、
まさに由次郎の三年忌の法要を営んでいる最中だった




八十右衛門は真っ青になり逃げ帰りました。
その晩から熱が出て寝込み、数日後に狂いながら悶死を遂げました




ということで、「白蛇の松」というお話でした。

さて、これを書き終えて知ったことですが、同様の話で屋敷で働いていたのが
由次郎のような下男では無く、若い娘と言う設定の話もあるそうです。

とは言え、主の理不尽な理由で娘が切り殺されてしまう、
流した血は庭の松の木にかかり真っ赤に染まる。
その松に一匹の白蛇が住みつくと、今度は屋敷で不幸が起きる

そして、最後は…って感じなんだそうで、
要するに男女の違い以外は概ね同じ内容何だと思います。
どちらも嫌な主のもとで悲惨な思いを呪いに変えて復讐する
そんなお話でした

まあ、主にとっては因果応報な結末は変わらずって事ですね

最後まで、お付き合い頂き、ありがとうございました!





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