でこぼこ三人衆 Presents





👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻👻

寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。
夏の夜というのは、不思議とあちら側の世界との境界線が、
どうやら薄くなるようでございます。

ふとした瞬間に感じる、生ぬるい風。
誰もいない筈の背後に漂う、気配。

それは気のせいか、それとも…

今宵お届けするのは、その昔より代々伝承されてきた、
少しばかり、怖い物語。

せっかくなので雰囲気も大切と思いますので、
部屋の明かりを少し落とし、耳を澄ませてお聞きください。

さあ、恐怖の時間の始まりです…



- 第1話 けあし -

これは昔々、愛知県は豊橋に伝わるお話です。



ある時、豊橋の商人が祈願したいことがあって、
一人、本宮山の麓にやって来たという




そこへ艷やかで美しい容姿の女性が商人に駆け寄ってきて、
本宮山に登られるなら、一緒に連れて行ってくれないかと頼んだのでした




商人が理由を尋ねると、女性は長いこと病の床に臥せっている母に、
貧しくて薬を買うことができない代わりに本宮山の神に祈って
母の病を治してもらいに行くのだと




それを聞いた商人は、女性の手を取り一緒に山を登り始めた




白い手、細やかな肌はまるで雪のよう。
商人が嬉しそうにこちらをチラリとのぞきみると、
女性の草履の紐がほどけたではないですか




商人はすぐに屈んで紐を探すと、
女性は着物の裾をすっと持ち上げたのでした

ふと、女性の足を覗き見る商人だったが、次の瞬間、
自身の目を疑うような光景を目の当たりにしたのだった

なんと!女性の着物の裾から出てきたのは、
大きな杵のように逞しい脚、
しかも、びっしりと生えた毛は針のように鋭く尖っているのだ




商人が恐る恐る顔を上げると、そこにはなんとも信じられないことに、
八尺もある猿のような化け物が牙を剥いていて立っていたというではないか!




商人は一目散にその場を逃げ、山頂の祠に駆け込んだ。
中には炉があり、老人が1人、静かに座ってました




茶を入れてくれた老人に事の顛末を話して聞かせると、
老人はニンマリして商人を見てこう言いました

「お前さんが見たのはこんなやつかね?」




着物の裾を上げると、そこには、またしてもびっしりと毛が生えた大脚が、
それを見た商人はその場で気を失ってしまい、倒れてしまったのでした

おしまい




ということで、「けあし」、つまりは「毛足」というお話でした。

怖いと言う意味では、女性と思っていた人が実は女装した男で、
さらにふとした瞬間に、濃いすね毛が見え隠れしたら…
それはそれで怖いですよね

ま、そんな冗談はさて置いて

果たして、その後の商人はどうなったのか?
実に気になるところではありますが、ここから先はご想像にお任せして、
今回のお話はこれにて終わりとしたいと思います。

最後まで、お付き合い頂き、ありがとうございました!





民話伝承999🄫