
でこぼこ三人衆 Presents
- 第5話 太田姫稲荷神社 -
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葱太郎:今週も福島ロケの結果を取り纏めて執筆しなくてはならないのですが、
これがまた思った以上に情報量のボリュームがあり過ぎて嬉しい悲鳴と共に、
連日連夜、PCを前に悪戦苦闘を繰り広げている訳でして…
そんな訳で、今回は以前に用意しておいたお話の中から「太田姫稲荷神社」のお話を、
お送りしたいと思いますので、今回も付き合いのほどを宜しくお願いします!

葱太郎:(ちょっと集合時間よりもだいぶ早めに到着してしまったなぁ…)
この日は別件にて、山さん、きゃさりんの二人と合流するのだが、
ちょっと思った以上に早くに御茶ノ水駅に到着していまい、
どうしたものかと一人駅前で悩む葱太郎だった

葱太郎:(御茶ノ水駅も外観の改装工事が終わって綺麗になったし、
そこそこに人も多くなって賑わいが出てきたのかな?
あ、そう言えば太田道灌に纏わる神社を調べてたっけ、
折角だし時間にも余裕があるから、資材用の写真撮りがてら散策しても良いかも...)
と、一人で悩み抜いた結果、葱太郎が自己解決を見出したその時だった

きゃさりん:おっはよーございます!
葱太郎:(…)※考え中
きゃさりん:おはようございます!葱太郎さん!
葱太郎:(…)※まだ考え中
きゃさりん:あれ?聞こえてますか??
おーーーい!(大声で)

葱太郎:あ、きゃさりんか、おはよう
(やっと気が付いた葱太郎)
きゃさりん:はい、おはようございます!
さっきからずっと声掛けてたんですよ
葱太郎:え?そうなの?
ホント、ごめんね
きゃさりん:どうしたんですか?何か考え事でも?
あ、うん...
葱太郎:そんな大したことじゃ無いんだけど、太田道灌の事でちょっと考え事を
きゃさりん:おおたどうかん??
何ですか?人ですか?
葱太郎:そう、太田道灌は室町時代後期に関東地方で活躍した武将でさ、
扇谷上杉家の筆頭家老として軍事・政治・外交の才能をいかんなく発揮した人なんだ、
あと有名な話で言えば江戸城を築城した人物でもあるんだよね

きゃさりん:えー!なんか凄い人じゃないですか!!
葱太郎:まあね、そうだ!折角だし一緒に太田道灌の縁がある神社に行くかい?
ちょうど時間もあるし、行こうかと考えてたんだ
きゃさりん:はい!行きます!
この辺の近くにあるんですか?
葱太郎:うん、結構近くにあるよ
んじゃ、行く道程で神社の、違うかな...
これから行く「太田姫稲荷神社」の由来的なエピソードを話しますか


太田姫稲荷神社は、我国の数多い神社の中でも、極めて豊かな霊験伝承と、
古い由緒をもつ神社であるんだ。

神社に伝わる古絵巻と、『駿河台文化史』(昭和10年神田史跡研究会)によると
この神社の縁起は9世紀の伝説に始まったとあるんだよね
さて、ここで登場する人物が、太田道灌が登場せず、小野篁というお方が登場し、
小野篁をもとにお話は展開されて行くんだけど、
そもそも、このお方は誰って話になるんじゃないかと…
で、このお方はなんと!百人一首の名歌で知られる参議篁であり、
その詩才に白楽天に比せられたほどで、
平安時代第一の漢詩人といわれた実在の人物なんだ
もっと分かり易く言えば、小野小町の祖父に当たる方!
そして、百人一首の11番歌のこちらがこの方の歌になるんです
わたの原はら 八十島やそしまかけて 漕こぎ出いでぬと
人ひとにはつげよ あまのつり舟

話が脱線してしまったけど、もとに戻して話を続けると…
彼は、遣唐副史にまで選ばれたんだけど、
唐に向かう途中、上官から漏水した船と交換するように命じられましたが、
これを拒否した事と、
さらに遣唐使の無能さを批判する漢詩『西道謡』を作ったことで
嵯峨上皇の逆鱗げきりんに触れ、絶海の島である隠岐に配流され、
厳しい生活を送る事になったんだ
一応、2年後には恩赦を受けて都に戻り、官職に復帰してるんだけど、
この辺の話と時期的には近いかも知れないんかな?

さて、絵巻物の伝承によると、承和6年はじめ、篁が伯耆国の名和港を出航してまもなく、
海上にわかに6,7丈の大波が荒狂い、雷鳴はげしく轟き、
今にも海底に引込まれそうになったという

篁は衣冠を正して船のへさきに座り、普門品を熱心に唱えていると
白髪の老翁が波の上に現れて
「君は才職世にたぐいなき人であるから流罪になっても間もなく都へ呼返されるであろう。
しかし疱瘡患れべば一命があぶない。われは太田姫の命である。
わが像を常にまつれば、この病にかかることはないであろう。」と告げおわると
八重の汐路をかきわけてかき消すように姿を消して行かれたそうだ。

お告げのとおり、篁は翌年はやくも都へ呼返されました。
彼は自ら翁の像を刻み、常に護持していましたが、
のちに、山城国(今の京都府)の南にある一口の里に神社をつくって、
祝い祭ったというお話なんだ

そして、この神社にはもう一つお話があり、こちらは太田道灌が主役のお話になるんだ
江戸の開祖として知られる太田資長(後の太田道灌)には
最愛の姫君がいたが重い疱瘡にかかり、
世にも頼りなく見えたところ、ある人が一口稲荷神社の故事を話したので
急使をつかわして此の神に祈願したんだとさ

使いは幾日もなくかの社から祈祷の一枝と幣をささげて帰ってきたが
この日からさしもに重かった病もぬぐうように癒えたんだとか

そこで太田資長は崇敬の念篤く城内本丸に一社建立し、その後はこの社を敬拝した
またこの姫君は此の社を深く信心してつかえるようになったが、
ある時この神が白狐の姿で現れ、我にこの城の鬼門を守るべし、と託宣されたので、
そのため、鬼門に社を移して太田姫稲荷大明神と奉唱するようになったんだ。

その後、今から約534年前第103代後花園天皇の長禄元年の頃、
慶長8年8月徳川家康公が江戸城へ入られた後、
慶長11年に江戸城大改築を行い城内にあったこの社を、
西丸の鬼門にあたる神田駿河台東側の大坂に移されたために
この坂は一口坂と呼ばれるようになったんだ
まあ、そこから色々とあった後、
昭和6年にはお茶の水駅、両国駅間の総武線建設のため社地の大半を収用され、
鉄道省より換地として、現在の地を神社敷地に指定、
一切の建築物をそのまま移転して今日に至ったというお話


葱太郎:まあ、簡単に言ってしまえばどちらも当時流行した『疱瘡』という
天然痘ウイルスを原因とする強力な感染症に関連する話なんだ
きゃさりん:なるほど、この手の流行り病に纏わる伝承は良くありますが、
由来が絶妙に異なるのも珍しいですね

葱太郎:そうなんだよね、神様と言う点では老人の話の方が信憑性が高いんだけど、
そうなると太田姫ってネーミングには違和感しかない
きゃさりん:確かに白髪のおじいさんを太田姫と呼ぶのは無理がありますね、
せめておばあさんなら受け入れ易いんですけど
葱太郎:うん、そこだよね
そもそも、古代日本語において、「ヒコ(彦・日子)」が男性の尊称、
「ヒメ(姫・比売)」が女性の尊称として厳格に使い分けられていたため、
余程の事が無い限りは男性の神様に「姫」は付けないんじゃないかと...
なので、自分としては太田道灌の娘の話に由来する、太田家の姫君という意味ではなく
「太田姫命」という神様のことで、
道灌のもとに現れたときは狐の姿をしていたという方がしっくり来る気がするんだよね
きゃさりん:うんうん、凄く納得です

葱太郎:とはいえ、境内の説明板には白髪の翁の男神で書かれてるので、
こちらを正しいものと覚えて欲しいかな
きゃさりん:うーーん、何かしっくり来ませんが、了解しました!

葱太郎:さて、もう一つ寄っていきたいとこがあるけど良いかな?
きゃさりん:はい、もちろんOKです!
数分ばかり歩いて移動する二人
※ここのくだりは後ほど『おまけ』をご覧くださいませ
葱太郎:先の話でも触れた通り、社殿は当初は駿河台淡路坂にありましたが、
総武線御茶ノ水・両国駅間の工事のために移転して、現在の地に落ち着いたんだ
で、その坂と言うのが、
JR御茶ノ水駅の聖橋口を出て左側の秋葉原方面へ向けて下る急坂のことで、
その坂がまさに目の前にあるこちらなんだよね

葱太郎:その証拠と言うとおかしいかも知れないけど、今も「元宮」と書かれた木札が、
この椋の大樹に下がってるんだ
きゃさりん:中に何か入ってるみたいですが...

葱太郎:あ~、それね!
それがまさに太田姫神社の御守りで、別名を「一口稲荷」と言い、
京都府久世郡久御山町東一口に鎮座する豊吉稲荷(別名一口稲荷)の御分霊って事で、
由緒によれば、かつてそこに痘瘡平癒に御利益のある「一口稲荷」があったらしいんだ

きゃさりん:ではご利益のある御守りの様ですし、お一つ頂いていこうかしら
葱太郎:良いと思うよ、折角だしね
ちなみに「一口」と書いて「いもあらい」と言う読み方が独特と言うか、
初見で読める人の方が絶対に少ないんでしょうね
きゃさりん:うん、それは間違いないかもw

葱太郎:また、これは余談だけど、
痘瘡または疱瘡とは、天然痘のことで感染すると全身に痘痕ができる。
痘瘡のことを「ゑも・ゐも」とも言い、これを神社などの霊水で漱ぐと治癒すると良いと信じられ、
いもをあらうから「いもあらい」と呼ばれていたとも言われているんだよね
きゃさりん:へぇー、名前にもちゃんと意味があるんですね
凄く勉強になります!

葱太郎:あ、そうこうしている間に時間が...
きゃさりん:ヤバいですよ!急ぎましょう!
では、急ではありますが、また次回にお会いしましょう!

今回のお話に登場した太田稲荷神社をお写真でご紹介します!

鳥居の前には大きな木がそびえ立ってます





本宮には神社前の池田坂を真っすぐ進みます

途中、右手にはニコライ堂があるので、寄り道してみては?

突き当りを右へ進むと御茶ノ水駅があります

信号の向こうに見えるのが本宮の跡地


こちらが話にも登場したその木です

運が良いと御守りが追加されてますので、是非1つ!

御守りには「一口(いもあらい)」の文字が入ってますね

本宮横の聖橋もまた観光名所ですがご存知ですか?

この光景、そうあの有名アニメ映画にも登場したアレです!
また、一度に沢山の電車が同時に写真に収めることが出来る事でも有名で
多くの鉄道マニアから観光客で日々賑わっていたりもします

最後に、
太田姫稲荷神社ですが、御茶ノ水だけでなく、麹町にもあります

ちょっとこじんまりとしてますが、
最寄りに足を運んだ際には是非!

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