
でこぼこ三人衆 Presents
- 第3話 蟹娘-
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さて、今回は従来とはちょっと、いや、かなり変わったお話をしたいと思います!

近い昔、いやそこそこ昔になるのでしょうか、
浅草の見世物小屋は、江戸時代から明治・大正期にかけて浅草寺裏の「奥山」や「六区」に立ち並び、
サーカスや動物園、お化け屋敷が合体したようなカオスで庶民的な大衆娯楽の殿堂だった

この話の舞台は明和六)頃の浅草であった
そんな時代のお話です

さて、そんな見世物小屋ですが、一体どんなモノだったのかと言うと
先ずは現代でいう看板娘や口上人による威勢の良い掛け声(呼び込み)が行き交い、
人々の好奇心を強く刺激していました

そして、小屋の中では珍獣・動物の展示が大人気!:
クジャクなどの珍しい鳥や奇獣、外国から渡来した動物が呼び物となっていたんです。

そして少しずつ本領発揮と言うんですかね!曲芸・パフォーマンスは、:
時代が進むにつれて、メコン川流域の首狩族 や、普段見られない珍しい風俗、

身体的な特徴を持つ人を「見世物」として客寄せの口上とともに
見せる興行へと変化して行ったなんて今では考えられない見世物もあったもので…

さて、見世物も遂に終盤となりました、
ここで登場するのは、皆さんお待ちかねの、呼び込みの売り文句にもあった、
あの!この世に存在しない奇妙な出しものとはこれ如何に!
伝説の麒麟も驚くひょろひょろ伸びる「首長女」のご登場
おっと、出てきたのは普通のお嬢さん?

障子が前に置かれて照明で見える影
それが…

ひょろひょろと伸びては縦横無尽に動き回るんです!
客席からは「おー!」という歓声と、
「えー!」という不満の声が入り混じるけどお構いなし

最後に障子の端からひょっこりと顔を出して演目は終了!
ささ、次に参ります!

続いて登場しまするは、大蛇を体中に巻きつけた妖艶な美女
どうやら、説明によれば「蛇女」なんだとか
もちろん、客席からは汚いおっさんの卑猥な野次が飛び交う中、
妖艶な美女は想像を絶する予想外の行動に出るんです

それは何とも驚愕な…
体に巻き付いていた蛇を捕らえると、そのまま口に入れかぶりつくじゃないですか
それで「蛇女」なんて誰も思わないけど、卑猥な野次を飛ばしたおっさんも
流石にドン引きし、無言のまま演目は終了
ここまで来ると、生々しい血の看板、思わせ振りの呼込につられ、
恐い物見たさに、客は小屋に引き込まれてた客は不満タラタラな訳で…
極めつきの六尺(1.8m)の「おおいたち」には期待するのだが、
いつまで待ってもステージに「おおいたち」は登場しない

もう我慢の限界となった客のおやじが
「鼬(イタチ)はどこだ?!」と問い詰めることに
「いやいや、ここに居ますよ」

満を持してパッと布を取り上げると、そこには…
六尺の戸板に赤いペンキを垂らして
《大板血(おおいたち)》
あぁ、確かに間違いは無いけど、そんなオチとは何ともな話で
さて、余興は終わりにして今回の本題はこちらの話。
今回は以前にした墨田区の「鬼娘」のお話しと似たお話しを一つ。
この話の舞台は明和六年(1769)頃の浅草でのお話


ここ江戸は浅草にあった見世物小屋では、
両手の指が二本ずつの少女を「蟹娘」と名付けて披露していたとか。

あれですね。「蟹娘」と聞いて、
最初に想像したのはゲゲゲの鬼太郎に出てきた「蟹坊主」みたいな妖怪かと思ったけど、
外見が特異である以外には特に変わった芸もなかったらしい。
残念な事に思ったのとはかなり違うようです。
さて、これで「蟹娘」の話が終わってしまってはアレなので、
他に「蟹娘」についてネットで調べてみると、千葉県に別の「蟹娘」のお話しがあるようでした
ただ、こちらは蟹漁の名手が海に誘い込まれるという河童の話の海バージョンと、
オチに死体を登場させる怪談話の様な展開が用意されたものでした。
(元ネタとなる話がこちらの1つしか無かったので伝承の真偽は何ともですが…)
とは言え、折角なので「蟹娘」のお話をどうぞ!



浦安ではこんな奇談が伝わっています。

江戸末期から明治にかけて浦安は蟹漁が盛んであり、多くの漁師がモクゾウガニ漁で生計を立てていました。

当時のモクゾウガニの漁の方法は深夜に蟹のいそうなポイントに網をしかけておきます。
そして船で一番仮眠をとり朝一番で引き上げるというものでした。

ある男がいました。
彼はなかなかの蟹漁の名手であり、いつも多くの蟹を水揚げしていました。
彼自身が蟹がよくとれるポイントを熟知していた事もあったようです。

ある夜の事、いつものように蟹がよくとれるポイントに出かけた男は網を仕掛け、
蟹が入る朝まで仮眠をして待つ事にしました。

すると男の夢の中にとても美しい娘さんが出てきたのです。

花柄の着物が見事で、かわいい娘さんの手招きで男は夢の中でふらふらと娘さんの方に近寄ろうとしたのです。
すると何やら感じる冷たい感覚。男がふと目を覚ますと、船から半身が出て水に浸かっています。

「うひゃ、これはいけない」

男は正気を取り戻しました。あやうく海の魔物に命をとられるところだったのです。
そして男は、そろそろ網の引き上げ時だと判断し、網を引き上げました。
今日も大漁のようです。多くの蟹がかかっています。

しかし男にははっきり見えました。蟹の中からあの娘の着物の柄が見えたのです。

そうです。蟹の塊と見えたものは びっしりと数百匹の蟹がしがみついた娘の溺死死体だったのです。
あなたも釣りなどで夜の船に乗る時は「蟹娘」の誘惑に注意しておいてくださいね。

最後に、「蟹娘」について、特に逸話的なものも無いのか。と諦めかけていたところで
『怪席料理献立』(鬼娘の話は前回にも少し触れましたが、
これに出てるんです)に蟹娘の事も書かれてます。
それはどんなかと言うと、以下の様な感じで今風に言えば奇跡のコラボと言うのでしょうか。
「『怪席料理献立』では、
鬼娘が、仲間の熊女・蟹娘・蛇女・ 三足の娘という、
実際存在していた過去の見世物の女たちと手を組み、
人間の美しい女たちにけちをつけようとする。」
しかし、結末では「酒屋の娘お三輪」の嫉妬が生み出した「心の鬼」は、
化物の鬼娘が持っている鬼らしさより遥かに凄いね~、怖いね~という内容でした。
それ相応に書けた気がするので、今回はここまで。
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民話伝承999🄫